「編集長をめった刺し」講談社に殺害予告の男を逮捕…文学賞落選に恨み

ニュース内容

出版大手「講談社」(東京都文京区)社員の殺害予告をしたとして、警視庁大塚署は17日、沖縄県読谷村、無職の男(44)を威力業務妨害容疑で逮捕したと発表した。逮捕は16日。男は同社主催の文学賞に小説を応募したが落選しており、同署は一方的な恨みとみて調べている。

大塚署幹部によると、男は5月14日、自身のツイッターで、講談社の本社ビルで「編集長を牛刀でめった刺しにする」などと複数回書き込み、同社に警備を強化させるなどした疑い。調べに容疑を認め、「小説の1次審査で落ちて納得できなかった」と供述している。

講談社によると、男は文学賞に複数回、小説を応募したがいずれも落選していた。同社広報室は「京都アニメーション放火殺人事件を模倣したかは分からないが、恐怖を感じる」とコメントした。

2020/07/17 12:53 読売新聞

弁護士からのコメント~殺害予告の威力業務妨害罪該当性~

今回のニュースは、「講談社」(東京都文京区)社員の殺害予告をしたとして、威力業務妨害の疑いで逮捕されたというものです。

そこで今回は、このような殺害予告という脅迫行為が、威力業務妨害罪に該当するのかについて解説したいと思います。

まず威力業務妨害罪は、刑法上下記のように規定されています。

(信用毀損及び業務妨害)
第二百三十三条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(威力業務妨害)
第二百三十四条 威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

すなわち、威力を用いて人の業務を妨害した者は、3年以下の懲役または50万以下の罰金の刑罰に処せられるとのことです。

この点、判例上「威力」とは、犯人の威勢、人数及び四囲の情勢から見て、被害者の自由意思を制圧するに足りる勢力のことをいうとされています。

そうすると、講談社の本社ビルで「編集長を牛刀でめった刺しにする」などと複数回Twitter上で投稿する殺害予告は、十分恐怖を感じるものであるから、編集長や講談社の自由意思を制圧するに足りる勢力といえ、「威力」に該当するでしょう。

次に「人」とは、法人も含まれますので会社も被害者に該当し得ることになります。

そして判例上、業務を「妨害」とは、業務の執行自体を妨げる場合に限らず、広く業務の経営を阻害する一切の行為をいうとされています。

となると、殺害予告は、警備の強化などを余儀なくさせるものですので、業務の経営を阻害する行為といえ、「妨害」に該当するといってよいでしょう。

したがって、今回の殺害予告は、威力を用いて人の業務を妨害したとして、威力業務妨害罪に該当するといえます。

なお、殺害予告が威力業務妨害罪に該当しない場合であっても、人の身体に対する害悪の告知ですので、少なくとも「脅迫罪」には該当し得ます。

ですので、TwitterをはじめSNSや掲示板などネット上での殺害予告は、威力業務妨害罪、脅迫罪に該当し得る行為ですので、絶対に行わないようにしましょう。

最後に、脅迫被害でお悩み・お困りの方は自らで解決しようとせず、遠慮なく当事務所にご相談ください。

Bio

弁護士 刈谷龍太

グラディアトル法律事務所代表弁護士。
中央大学法科大学院修了。2012年弁護士登録。
離婚・労働・ネット・消費者被害など一般向けのトラブルから、企業法務や経営サポートなど幅広く担当。